シンメトリーの構図

 人間の目には、対称性のあるものを見ると無条件に「美しい」と感じる性質があると言われています。もともと「左右対称・反転」という意味のシンメトリーは、デザイン制作においては、対象物の中央に反転の軸となるラインや点を仮配置し、その軸を中心に要素を対照的に配置していく技法のことを指します。(左右対称や反転の他にも、点対称、平行移動なども含まれます。)この技法は、教会や宮殿などの伝統的な建築物などでも多く利用されており、シンプルでエレガントな雰囲気を演出する際に有効です。 
 シンメトリーにして、左右の余白を均等にすると紙面に安定感が生まれ、静的な印象になります。そのためこの技法は、格式や伝統、クラシカルといった印象のデザインに仕上げたい場合に適していると言えます。この構図を生かすには、適度な余白を作ることがポイントとなります。配置する要素が多かったり、要素を大きくしすぎたりすると窮屈な印象になり、圧迫感を与えてしまうので注意が必要です。また、配置する要素が少なすぎても対称性は演出しにくいということも覚えておきましょう。 
 紙面レイアウトにシンメトリーの構図を採用する場合、対称性のある写真を使用し、文章も対称性のあるデザインにすることで、より美しくデザインすることができます。さらに、紙面の重心の位置によって印象を変えることもできるので、用途や目的に応じて使い分けると良いでしょう。例えば、下部に重心がくる三角形型の構図では安定感が強調された紙面になります。逆に、上部に重心がくる逆三角形型の構図では緊張感が感じられるようになります。