宗教画と画家

偶像崇拝が禁止されていたキリスト教において宗教画が必要不可欠なものとされていた背景には、文字を読めない人びとにも聖書の物語を伝承する役目がたくされていたようです。その頃に描かれていた宗教画の多くには、作者を特定するための署名などの痕跡がみつからないことも、宗教画は画家たちの製作意欲からはかけはなれた事柄によって作品づくりが行われていた証明となるのかもしれません。宗教画を製作した画家たちは、自作であることの証であるサインなどを作品に残すことは許されていなかったようです。また宗教画を描くことに対して、自分自身の作風や個性を演出することすらも認めらていなかったようです。宗教画はまさにキリスト教を布教するだけのものとして存在していたようなのです。